肝嚢胞
1.肝嚢胞とは
肝嚢胞は、肝臓の中に水のたまった袋ができたもので、先天性、後天性などのものがありますが、通常、肝嚢胞といった場合は、先天性の良性疾患のことをいいます(表、図)。大きさ数cm以下のものが多く、無症状で治療の必要はありません。しかし、10cm以上の大きなもので周囲の臓器に対する圧迫症状がある場合、破裂した場合、出血した場合などには治療が必要となります。
2.治療
治療法は、嚢胞に針をさして内容液を吸引した後、その中にアルコールを注入してのう胞の内側の細胞を固定する方法が一般的です。これにより、内容液の分泌がなくなり、その後圧迫症状などがなくなります。そのほかに、嚢胞壁切除、開窓術、肝部分切除などが行われることもあります。
表9-35 嚢胞性肝疾患の分類(DeBakeyらによる)
図:巨大肝嚢胞のCT像
出典:内科学 第9版、朝倉書店、p.1000<図9-53>

- 先天性肝嚢胞
- 原発性実質性肝嚢胞
- 孤立性嚢胞
- 多発性嚢胞
- 原発性胆管性肝嚢胞
- 肝内胆管主枝の限局性拡張
- 肝内胆管の多発性嚢状拡張(Caroli病)
- 原発性実質性肝嚢胞
- 後天性肝嚢胞
- 外傷性肝嚢胞
- 炎症性肝嚢胞
- 胆管の炎症、結石による閉塞に基づく貯留嚢胞
- 包虫嚢胞
- 腫瘍性嚢胞
- 類皮嚢胞
- 腺腫
- 悪性腫瘍の変性