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病気のガイド

胃癌

1.胃がんとは

胃の粘膜に発生する上皮性悪性腫瘍です。
胃がんは全世界で年間約100万人が罹患するとされており、うち日本では約11万人を占めています。全悪性腫瘍の中で、胃がんはがん死亡数・がん患者数とも第1位を続けてきましたが、食生活の変化、検診の普及、治療の進歩で死亡率は徐々に減少しています。しかしながら、高齢化社会に伴い死亡者数としてはあまり変化がありません。

2.原因

胃がんの危険因子はヘリコバクター・ピロリという細菌の感染による炎症で、その防御因子は緑黄色野菜の摂取と言われています。ピロリ菌が持続性の萎縮性胃炎をもたらし、腸上皮化生から胃がんに至るという流れが考えられています。ピロリ菌の治療(除菌)が胃がんの予防に役に立つとも考えられています。

3.症状

胃がんの症状は、早期の段階ではほとんど症状がなく、進行に伴い、痛み、不快感、膨満感に加え、胸やけ、げっぷ、吐き気、食欲不振、貧血、体重減少などが認められますが、症状だけからは他の病気と区別が出来ません。

4.診断

胃がんの診断はX線検査と内視鏡検査によりなされます。 バリウムと発泡剤による空気で胃の壁を映し出す方法は二重造影法と呼ばれ、日本で開発されたものです。検診に広く用いられており、日本において早期胃がんの割合が多く、治療成績が他の国々よりも良好であるのはこの二重造影法による検診の普及によるものです。
内視鏡検査は機器の発達により、楽に検査が受けられるようになり、画像も鮮明で、診断能も向上しています。内視鏡検査は直接胃内を観察し色調の変化が捉えられること、色素を散布しコントラストを強調できること、鉗子(かんし)という器具で組織をつかみ取り顕微鏡診断ができることなどが揚げられます。さらに、胃周囲のリンパ節や遠い臓器への転移の診断をするのに腹部超音波検査、CT検査、MRI検査などが行われます。
また、検診としてペプシノーゲン検査という血液検査があります。萎縮性胃炎の強い人に胃がんが多いという理論から行われます。

5.治療

進行度の判定には胃癌取扱い規約が、治療方針の決定には治療ガイドラインが用いられます。
取扱い規約には、がんの位置、形態(肉眼型)、大きさ、胃壁内の深さ(深達度)、リンパ節転移などの取り決めが記載されております。それぞれの所見に応じて、進行度を判定します。

1) 早期胃癌の治療

ガイドラインには治療の原則が記載されております。転移の可能性の低い早期胃がんに対しては、内視鏡的切除術、縮小手術(開腹手術、腹腔鏡手術)などが、それぞれの進行度に応じて選択されます。
最近では、腹腔鏡手術が普及し、お腹の傷が小さい、術後の痛みも軽い、腸管の動きの回復が早い、出血量が少ない、入院期間が短縮できるなどの利点があげられています。

2) 進行胃癌の治療

進行がんに対しては、標準手術(標準的な範囲でリンパ節を摘出すること)、拡大手術(より大きな範囲でリンパ節を摘出すること、周囲臓器を合併切除すること)などがありますが、それぞれの進行度に応じて慎重に適応を決める必要があります。
さらに、化学療法(抗がん剤療法)の進歩に伴い、進行度や手術時の診断結果に合わせて、化学療法を積極的に行われるようになってきました。外科治療単独だけでなく、外科治療と化学療法の併用療法も一般的となっています。
胃がんは進行するとがん細胞がお腹中にまき散ること(腹膜播種)や血流に乗って肝臓などに転移することもあります。こういった病状には化学療法が選択されますが、治療成績は満足されるものではありません。今後のさらなる治療法の進歩が待ち望まれます。